河岸のおはなし



猫、猫!猫!!

おっと、前回書いたのが既に夏。しかし今は季節はもう冬ではないですか。
そう、もはや、秋ではなくて冬ですよ、冬。ヘンにあったかかったり、逆に冷たい雨になったりと不安定だけど、11月っていったら、北育ちの私にしてみれば、秋ではなくてもう冬。
一般的には11月はまだ秋なのかなあ?いや、秋は9月と10月で終わりですよね?
あ、でもそう考えると、季節の配分ってどうなっているんだろ。私のイメージでは、夏と秋は完全に確定しているんですが。夏は7月と8月。秋は9月と10月。あれ?12ヶ月を四季に当分に分けたら3ヶ月ずつだから、やっぱりヘンなのかなあ。そうすると私にとっての春は4月〜6月。冬は11月から3月。あ、やっぱり冬の長さが圧倒的だわ。
でもその感じは、東京に住んでる今でも変わらないです。よく北国育ちなのに寒さに弱いの?なんて言われるんだけど、そりゃそうなんだけど、違うんですよ。
北国育ちの人は、北国以外の寒さに弱いと思う。種類が違うんですよ、寒さの。
というわけで、寒い東京に苦しめられる季節がやってまいりました。

あーあ、もう長靴の底に穴があいてしまった……。
以前は一年に一回とりかえる、その一年目にも穴なんてあいてなかったのに、いまは半年と持たない。
体重のせいかな?なんて笑いあって、確かに体重増えた時期もあったものの、今は一応元の体重に戻しているんだけどなあ。長靴のつくりが悪くなっているのかしらん。
長靴の靴底から水が入ってくると、ホントに冷たくて、寒くて。
しっかし、長靴って高いんですよねえ、ナマイキに。この暮れのモノイリな時期には結構キビシイものが……。
あーあ、カイロも三種類(手を温める携帯用と、腰用に貼るタイプと、靴の中に入れる小さいタイプ)買いだめしなきゃいけないし……。

猫が好きなんです。いきなりだけど。
河岸って猫が多いんですよね。魚を置いてあるところだから。
でも、市場だから衛生のこととかあって、特に場内は猫には冷たいんです。ヒドイ話になると、猫をつかまえるとそのまま海にドボンだとか。
子供の頃は、家でインコだのチャボだの飼っていたせいもあって、猫は敵、だったんですけど、もう今は猫キチなんです。猫を見るだけでもうとろけちゃう。飼いたいけど、集合住宅だし、自分自身の責任にも自信がなくて。
街で見かけるノラって、警戒心が強いしなかなか触らせてくれないのですが、河岸の猫は、そういう逃げちゃう猫もいるけど、触らせてくれる猫も多くて。
いつも売上金を納めに行く場内にある信金の、階段の下のところに時々茶トラの猫がいるんです。隣接する波除神社に住みついているみたいなのですが。この猫が半分警戒心を持ちながらも、仰向けになってゴロゴロ、となでさせてくれて、もう私はメロメロ。あーん、この子、連れて帰りたいよお。
この間、場外の路上で乾し果物とか手ぬぐいとか売っているテキヤ風のお兄さんが、植え込みに向かって淡々と手を動かしているのを見かけて。なんだろ?と思ったら、エノコログサで猫と遊んでるんです。猫が両手でエノコログサをつかもうと半立ちになってて。
ううッ、か、可愛い。

そうそう、この間すっごく驚いたことがあって。店の帳箱(街角の宝くじ売り場みたいな感じ)の中に子猫が入り込んでいたんです。隣に座っている先輩が、いきなりギャー!と大声をあげたと思ったら、開いている戸から子猫が飛び出していったんです。
先輩によると、なんか足の上に微妙に生暖かい重みを感じるなあ、と思って下を見たら、黒いものがじっとしていたと。下においている補充のガムテープかなんかかと思って足を動かしたら、ヤツは一目散に走って逃げたわけです。まさかそんなところに子猫がいるとは思わないから、私もドギモを抜かれてしばらく心臓バクバクが止まりませんでした。あー、びっくりした。
あーん、でも今落ち着いて考えてみると、まだまだすっごくちっちゃくて、可愛い子猫だったんですよー。これも茶トラの。

好みとしては、三毛猫が好きです。その次は茶トラかな。黒猫だったら、絶対ジジという名前をつけちゃうだろーなー。ああ、猫がいる生活に憧れる……。
でもやっぱり、死なれるのが怖いから。こっそりなら飼えるだろうけれど、飼えない理由はそれが一番。だから、余命10年ぐらいのばーさんになってから子猫を飼って、自分の最期をみとってもらうのが夢なんです。
早くばーさんになりたいわあ(って……これが「河岸のおはなし」なのかよ……)。




死にそうな顔、してますか?

はー。今年もこの暑さにはほとほと参っています。
気温自体は去年よりマシなんでしょうけど、この湿気は一体!?毎日お風呂場の中にいるみたいで。
息を吸っても吸っても、水蒸気しか入ってこない感じ。酸素がない!帳場でひと言喋るたびに、息苦しくてクラクラめまいがしてくる始末。
でもお客さんの前では一応とりつくろっていたつもりなんですが。

先日、場内市場のお店から事務所へ戻る途中、前方から笑い声が聞こえてきました。
「おいおい、何死にそうな顔して歩いてるんだよー」
はッ!え?私?
顔をあげると、今日お店に仕入れに来ていた定食屋のMさんです。「ほんっとに死にそうな顔してたぞー」って、もう爆笑してるんですもん。
マズいとこ見られたなぁ、そんなにヒドい顔してたかしらん。
それ以来、Mさんは店に来るたびに、「元気出せよお」と言ってくれます。は、どうも……。

先日、いつものように出かける前に某局の早朝のテレビニュースをチェックしていると、築地の話題が出ておりました。
出盛りのお魚のセリの話題。威勢のいいセリ人たちのかけ声が飛び交うシーンに合わせて女性アナウンサー、
「チュウカイニンたちが次々とセリ落としていきました」

チュウカイ?それは“仲介”だろー?不動産取引じゃないんだからッ!それを言うならナカガイニンだあー!!
仲買はチュウカイと読んではいけません。ナカガイであります。それにしてもそのあとフォローなかったな……電話してやりゃよかったかしらん。

まー、テレビというのは結構いいかげんな上に自分勝手なトコロなんで。最近は築地がよくテレビに取り上げられますけど、協力したお店との約束を破ってお店側が激怒、もーテレビには協力せん!ということもよくあるとか。先日聞いた話では、出さないと言ったマグロの原価をテレビに流してしまって築地から即刻クレームが。一般のお客さんというのは原価と売価が違うとボッタクリだとか言うもんですから。間には何人もの仲買や小売業者が入っているんだから当たり前なのに……私たちに食うなっていうんでしょうかねえ。

基本的に場内は業者、場外は一般、と分けられてはいるものの、最近はそれも名ばかりで、中にも一般の人がどんどん入ってきてどんどん買っていかれます。で、それはいいんですけど、一般の方が業者の人と同じ値段で買いたがったり、あるいは値切ったりしてくると、うちの鮭部長なんかキレちゃって。
「値切るような客に売るものはない。他にいくらでも売り手がいるんだから」
とそのお客さんを完全無視。見ているこっちはひえええ、と思いましたが、でも長年つきあっている業者さんだからこそ安い値段で卸したり値切りに応じたりするわけだから、一般の一見さんにそんなことをやられたらそりゃ気分を害するってなもんなのです。まあでもそれは場内だから。場外ではいいんですけど。場内は何せヘンクツたちが集まってますから?

場内に長年通ってきている魚屋さんや料理屋さんたちは、皆築地が大好きで、築地で仕入れることを誇りに思っている人たちばかりです。電話注文だけで済みそうな場合であっても、必ず足を運ぶ、という人が大勢います。

いつも一歩一歩そろそろと歩き、震えるような手でお金を差し出し、声も小さく表情も変わらず、しかし時どきボソッとギャグを言うようなお客さんがいて、あの人、大丈夫かねえ、何か今にも死にそうだよね、とか冗談半分で言っていたんですが、最近、別の人が仕入れに来るようになり、その方が来なくなったのです。
その新しい仕入れの人は、しかしどことなくお顔が……
「あのう、ひょっとして……」
「あ、そうです。息子です。オヤジ、もうさすがに仕入れには来られなくなっちゃって」
さすがに?
「今までももうムリだって状態だったんですけど、築地が好きだから、どうしても自分で仕入れに行きたいってきかなくて、行かせてたんです。でももう歩けないような状態になってしまって」

…………そ、そうかあ、あの人はそんなに築地が好きだったのかあ。
思わず私たち反省しきり。
築地に仕入れにくるアラクレモノたちの中ではその方は結構異色というか、真っ白くなった髪をキレイに整えて、上品そうなきちっとしたワイシャツ姿で来ていたんですよね……。
また元気になって仕入れに来てくれることを、心から願っている次第です。




粋な寿司屋の、危機。

場内に貼ってある掲示。
「はものせり 4時50分から」
それがこのあいだふと見ると、線が一本書き加えられていました。
「ほものせり 4時50分から」
…………ん?
しばらく考えて、で大爆笑。
セリ場は実は、ハッテンバだったのかあ!?
確かにデブ専、フケ専、どんな好みにも対応OKの男たちが集まってるけど。

ところで。
何だか最近は粋じゃない寿司屋が増えちまって、ねえ……。
などと、江戸っ子でもないくせにそんな風に嘆息してしまう気分になっちゃうのは、最近の異常なほどの築地の寿司屋オープンラッシュ。
それも、ネオンきらきらの、ガラス張りの、回転寿司がそのまま回転じゃない寿司屋になったような趣で、そのチェーン店の怒涛のような進出で、引き戸ガラガラ系の、昔ながらの寿司屋は店じまいに追い込まれてしまうし。
それも、また、確かに時代の流れかもしれない。入りやすい寿司屋を皆求めてる。それは確かにそうなんですけれど、そうとばかりも言い切れないものがある気がするのです。

先日、事務所の近くに出来た、その手の某寿司屋に行ってみよう、という話になって、皆で行ってみました。作業着に、長靴という、私たちは築地の人間だぞ!って主張したスタイルで。
じゃあ、店長おすすめのセットにしましょう、と頼んで、向こうも、自慢のネタを出しますよ、と言って、出てきたのが、大トロ、中トロ、ウニ、イクラ、カンパチ、サバ……んん?
え?イカもホタテも、ヒラメとかタイの白身魚も、ないの?コハダとか、ちょっと酢でしめたようなものも、ない。こんな、脂っぽいもののオンパレードなの?
そりゃ、本格的な江戸前を、とまでは言う気はないけど、ちょっとこれはあんまりなのでは……。

これが今の人気のネタだっていうんでしょうけど、こんな脂ギトギトだけだなんて、いくらガリがあったって、流せないです。身質の旨味を味わう白身とか、野趣あふれる味の貝類とか、そういうのがないなんて、ちょっとヘンな気がします。
サバを生で出してきたのも、新鮮さをウリにしているんでしょうけど、やはりどうしたってサバ、生臭みは多少なりとも出てしまうし、サバを寿司で美味しく食べるって言ったら、やっぱりシメサバでしょ?
じゃあ、単品で赤身のマグロを頼んでみよう、ということになって、頼んでみました。ここは生の本マグロをウリにしているところで、オープン時に他の店舗でしたけど行った時には、赤身のマグロがとっても良かったのです。
それが……赤身のマグロのはずなのに、見た目がどうみても、冷凍の解凍の色をしている……口に入れても、解凍モノ特有の、水気が染み出てくるのです。
よく、オープン時には、いいものを出して、そのあとは質を落とす、という話を聞いたことがあったけれど、本当だったんですね。ガッカリ。

これはまた、別のお寿司屋さんの話なんですけど、やっぱりチェーン展開しているところで。テレビにも良く出ていて、いつもとっても繁盛しているんですが。
ある時、築地にずっと住んでて勤め先も河岸だという人が、そのお寿司屋さんに入ったんですが、あんまりネタが良くなかったので、店長さんを呼んで、自分は築地の人間だけど、ここでこの程度のネタを出すのはどうか、と言ったんだそうです。そうしたら、その店長さん、築地の方なんですか、失礼しました、と言って、奥から別のいいネタを出してきたと、言うんですよ!これって、ヒドい話ですよね。そのお店はテレビに露出していることもあって、やっぱり外からの、一般のお客さんをターゲットにしているわけで、一般のお客さんをバカにしてるって、ことなんですよ。どうせ判りゃ、しないだろ、と。

判りゃしない、といえば、赤身は売れないけど、中落ちだと言って出すと喜んで食べる、という話も、あります。中落ちはやっぱり美味しいねーとか言って。でも、中落ちに包丁のあとがあるわけが、ないんです。あれは、骨にくっついている身を貝殻とかでこそげとっているのを中落ちというんだから。中落ちもまた赤身を多く含んでいるのに、ただの赤身の刺身じゃ売れないから、細かく切って、中落ちとして売る。すると、売れてしまう。これもヤな話です。

築地はもはやある種のブランドになっていて、知名度がある分、決していい話ばかりじゃないんですが……。でもね、そうやってテレビとかがさかんに入ってきて、そのテレビ局の人も、撮影の許可をとって、何日に撮影に来ますのでよろしく、と言っといて二度もすっぽかしたとか、そういう話もよく聞くんです。撮影にくるから、天ぷらをいっぱいあげておいてください、と言われたのにこなかったうどん屋さんの話とか。この築地にいると、テレビの人って、何でも許される、みたいな意識があるんじゃないかと、思ったりしてしまいます。そのせいもあるし、しょっちゅうだから慣れてるせいもあると思うけど、築地の人って、テレビの撮影が入ってたりしても、結構冷たいんですよね……仕事のジャマだ!とか怒鳴ったりして。

もちろんまだまだ良心的なお寿司屋さんは残っている築地。でもこんな状態で、築地の寿司屋全体が評判を落としやしないかと、心配です。




河岸のホワイトデー。

バレンタインデーに「お世話になりましたチョコ」を結構バラまいたので、ホワイトデーにはいろいろお返しをいただきました。一見お山の金太郎さんみたいな配達係のおにーさんが、南青山某パティスリーのオシャレな袋に入ったチーズムースをくれたりするのに驚いたり、私より若いくせにナマイキにも(笑)結婚しているカニのおにーちゃんはまー、ラブラブにも「うちのと一緒に作った」と手作りクッキーを持参してくれたり。しかししかし、鮮魚のおにーさんはと言うと……。

「これ、バレンタインのお返し(ホワイトデー)だからね」はい?
ギラリ(包丁を取り出す)。ちょ、ちょっと……。
「ちゃーんと切り身にしてあげるからね」切り身?
そーです。鮮魚のおにーさんのホワイトデーの贈り物は、ブリだったのでした。ホワイトデーにブリ……。
もっちろん、もう新鮮で血だらけ(笑)。ギットギトに脂がのってて、血合いのところも全然生臭くなくふっくら。ブリ大根と照り焼きでペロリといただきました。

さらに経理の上司は「はい、これホワイトデー」瓶詰めの……じゅ、じゅんさいっす。
「欲しいって言ってたでしょー(笑)」そんな覚えはありませんッ!
その上司は私の先輩には中国産黒酢をプレゼント。何を考えているのやら……と思ったら、先輩は大喜び。
「これ、探してたのよー。なかなか置いてないんだよね」
「そうだよ。場外(市場)探し回って6軒目でようやく見つけたんだよ」
……どうやら、私のじゅんさいはついでのノリだったらしい……。

ちなみにその先輩は、昼ごはん行きつけの場外の洋食屋さんからもらったのが、自家製のタルタルソース。ピクルスから自家製の本格派。場外に洋食屋さんはいくつかありますが、結構店主さんたちはこういうところから凝っているところが多いんです。しかし、ホワイトデーにタルタルソースねえ……。

「なんでもいいのよ。だって私、ちりめんじゃことか昆布とかもらったこともあるよ」
せ、せめてホワイトデーぐらい雰囲気が欲しいー。




1キロの切昆布、どうする?

今日、生の切昆布を1キロももらっちゃったんですよー……。切昆布、1キロなんて、一体どうしたらいいっていうんですか、もう……。エビとかサケとかイカとかカツオとかなら冷凍も出来るし喜んでもらうけど(生切昆布も出来るのかなあ。でも何となく気が進みません)、切昆布1キロは、あまりにあまりにキツいです。皆で分けようって言ったのに、次々逃げちゃって、私なんて一人暮らしなのに切昆布1キロなんて(しつこい)食べきれるわけないじゃないですか。で、でも、マグロユッケつけるって言うから、言うからー(結局、マグロユッケに負けた……)。とにかく、このままほっといたら腐っちゃうので、いいや、もう何日か分のオカズを作るつもりで、と思って、ネットで切昆布のレシピを片っ端からピックアップして作り始めました。ジャガイモと豚モモ薄切り肉と切昆布の煮物、油揚げと切昆布の煮物、豚バラ角切り肉と切昆布の煮物、サツマイモと鶏モモ肉と切昆布の煮物、サツマイモとエビと切昆布の煮物(うわ、何だ、煮物ばっか)、大根と切昆布のスープ、あと残りは刻んで納豆に混ぜて、ようやく、ようやく、ようやく1キロの切昆布がなくなりました。ここまで2時間半。こ、腰が痛い……。

もう半年ぐらいは切昆布、見たくありません。あ、でも一週間分は軽くあるんだわ、これ……。

マグロユッケというのは、これはなかなか美味でした。バチマグロの赤身の切り身と(最近、赤身はなかなか売れないから、こういう商品を開発するんでしょうね)うずらの玉子、ユッケのタレと刻みネギがセットになっているというもので、やはり最近はこういうパッと食べられるパック物がスーパー、デパート関係を中心に良く出ます。プラスティックの皿にミニサイズのふぐ刺しが並べられているものとか、しょうゆ味で調理してある“浜焼きホタテ”という商品もうちで扱っているし。あとはスモークサーモンとかカルパッチョのパックとか。そういえば今、手作業で骨を全部抜いた骨抜き魚、というのが大ヒット商品なんですよね。食べるのにめんどくさくないものがどうしてもウケてしまうというこの現象に、なーんとなく納得いかないものを感じながらも、私もそういうもの、買わないにしても、こういう風にあげるよ、と言われたら一尾の魚をくれる、というよりも喜んでもらっちゃうもんなあ。それに手軽なだけじゃなくて、ちゃんと美味しく作ってる。今は、そこまで行かないと売れない時代。厳しいです。

煮物じゃない切昆布のおすすめレシピ、どなたかご存知でしたら教えてください。貧乏性なので、あげるよ、と言われると断れないんですよねー……ま、飽食の国の、ゼイタクな悩みです。いや、つまりは不景気ゆえの売れ残りなんですけど……。




水色パールの爪の魚屋さん。

先日、清水國明さんが訴状提出までして反対を表明したという、琵琶湖のブラックバスの再放流(リリース)禁止の条例、どうなったんでしょうか。私はこの条例に絶対賛成なのですが、釣り業界や釣り人たちからは反対意見が大多数だということを聞いたので、気になってます。自然派志向、自然を大切にするという姿勢を持っている人ならば、このリリース禁止が当然で正当なものだと考えると思っていたのですが……心配です。河岸にいると、生態系のことに関心がいくようになるんですよね。このブラックバス問題も、日本にしかいない希少種の生態系を壊していると随分前から問題になっていたのだから、釣り文化の危機より、魚の絶滅を心配してほしいなあ。

で、全然話は飛びますが、冬ですねえ。私は先日、初ふぐでしたよ!安い割にはナカナカで、しかし白子が食べられなかった!時期的にもまだということもあるんだけど、とにかく量が少なくて、一日に5人前取れればいい方なんだってー!うーん、悔しい、食べたかったなあ。ま、その前に、普通にタラの白子ポン酢を食べたい、んだけど。

そうそう、アンキモも季節だし。あ、そういえば冬になって河岸の中のおすし屋さんに並んでいる人が減ったかもしれない?時期を問わずのすしとはいえ、やはりこう寒くなってくると、ふぐとかあんこうとか、鍋に行きますよねー。しかしですね、このところ築地での、ドトウのすし屋オープンラッシュはものすごい!いくら築地とはいえ、こんなにすし屋ばっかりになってどーすんの?って感じでね。それもやっぱり今風のガラス張りのピカピカしたおすし屋さんで。いっぺん入ってもういいや、と思うようなレベルのところも、安さと宣伝力で常時お客さんで満杯で、いいお店の方がつぶれちゃったりしているのを見ると、何だかなあ、と思ったりもして。

それも、最近の大トロ流行りはちょっと異常じゃないですか?良くて中トロからで、もう赤身なんて見向きもされない、って感じ。大トロなんて、マグロからいくらも取れない希少なものの筈なのに、何だかどこ行っても大トロ、大トロ。まあ、確かに脂がのっているっていうのは美味しいけど、大トロまでいくとしつこすぎるというか。本当にいいネタ使っているおすし屋さんなら、むしろ赤身が美味しいと思うんだけどな。脂でごまかしのきかない赤身のいいものは、一個でもういいやと思う大トロと違って何個でも食べられるし。何にせよ、赤身があまりにもないがしろにされすぎで……それに危機を覚えたのか、最近築地に赤身を宣伝するポスターまで出現しちゃったし。

あ、それと、この大トロもてもてに便乗して、単なるすじ肉のところを、軽くあぶってすじを消して、大トロのあぶり焼き、なんて言って出してるところもあるんですからね〜。皆さん、気をつけなければいけません。確かにあぶるとすじが消える、というのはアイディアだと思うけど、それを大トロって言っちゃうのは、ねえ。

またまた話はぶっとびます。
「見て見て、これ、寝てる間に娘にやられちゃったよー」と魚屋のおっちゃんであるTさんが見せてくれた親指の爪に施されていたのは、水色のパール地に金ラメ!
「いやー、落ちないもんだねえ、これ」そりゃ、除光液が無ければ落ちませんよ、Tさん……。
でも、「しかし、なかなかきれいなもんだよね」などと皆に自慢げに見せているTさんは、結局娘さんにイタズラされたことが嬉しかったのかも?
だけど、そのままで店でお魚さばいたりしちゃうの?Tさん……。


next!