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「ね」

1999年鑑賞作品

眠狂四郎無頼剣
1966年 79分 日本 カラー
監督:三隅研次 脚本:伊藤大輔
撮影:牧浦地志 音楽:伊福部昭
出演:市川雷蔵 天知茂 藤村志保 工藤堅太郎 島田竜三 遠藤辰雄


1999/9/22/水 劇場(恵比寿ガーデンシネマ)
市川雷蔵映画を初めて体験。「市川雷蔵映画祭」の予告篇の多くを、この作品の映像から取っていることからも判る、ビジュアル的な見せ場に非常に長けた一作。天知茂目当てで見に行ったんだけど、本作は眠狂四郎シリーズの中でも屈指の傑作に入るらしい。前半、設定の説明過多でゴチャゴチャするも、中盤以降の、映像の見せ場に入るや、さすがに目を釘付けにさせてくれる。

ランプ技術をめぐって陰謀が繰り広げられる。技術の功績者が無念の仕打ちを受け、その復讐に江戸を焼き払おうとする浪人(天知茂)、陰謀の犠牲になって恋人に裏切られた女(藤村志保)、そしてその功績者にうりふたつだという眠狂四郎(市川雷蔵)がくんづほぐれつ。ランプということでオランダ語(?)の文書が出てきたり、そこはかとなくバタ臭いところが雰囲気。

狂四郎をおびき寄せるために、捕らえられ、裸で布団をかぶった藤村志保。彼女の布団をやおらまたいで立った狂四郎に、おいおい、何する気なんだあーとどぎまぎしていると、刀を縦横に振り回して布団の布を四角に切り取り、これをまとって逃げろという……気障な野郎だ(笑)。そこにあらわれた愛染(天知茂)、二人のにらみ合いの隙をついて、布をまとって床を転がる女!それを阻止せんと口にさやをくわえて小刀を投げる天知茂、カッコ良すぎるぞ!そして女は手すりを飛び越え、ひらりと布を脱ぎ捨て、素っ裸で膝を抱えて飛び込み選手よろしく下の川?へとダイビング!す、スゴイ!

黒一色ですらりと刀を持つ市川雷蔵と、白一色でピストルを隠し持った天知茂。あまりに判りやすいコントラストとは言うものの、画面の上隅には欠け気味の月がぽっかりと浮かび二人が画面の左右に位置してそれぞれ反対側から剣でゆっくりと弧を描いて刃をたたかわすのにはさすがにゾクゾク!二人とも色っぽいからなあー。そう、しかもその場所は後ろに江戸の町が大火をあげている瓦屋根の上。狂四郎の剣に倒れた愛染が、ピストルを撃とうとするもそれもかなわず(この時の天知茂の壮絶な形相、惚れるわあー)、今日おみやげを持っていくと約束した女の子に渡してくれと懐から出した竹細工人形が、ざらざらと屋根をすべっていく……ああもう、天知茂ったらカッコいいんだから!

そうだ、天知茂と三隅研次監督のコラボレーションは、私が彼に惚れまくった「座頭市物語」がそうなのだった……非常に男の色気を上手く撮る監督なのだよなあ、三隅監督ってば!★★★★☆


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