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「ゆ」


1999年鑑賞作品

遊侠三国志 鉄火の花道
1968年 90分 日本 カラー
監督:松尾昭典 脚本:松尾昭典 星川清司
撮影:岩佐一泉 音楽:池田正義
出演:石原裕次郎 小林旭 高橋英樹 浅丘ルリ子 葉山良二 大坂志郎


1999/2/18/木 劇場(新宿昭和館)
いやあー、参ったね、小林旭には!クレジットは石原裕次郎が先だし、キャラクターだって二番目のはずがこの圧倒的存在感はどうだ!片目の一本松、確かにもうけ役には違いないが、そのカルーいフットワークと台詞のリズムがあまりにも軽快でワクワクしてしまう!客として寄せてもらっている組への殴り込みの計画を偶然耳にし、一人でふらっと乗り込みボスをあっという間に殺し、その事後処理も抜かりなく、何も知らずに娘と駆け落ちした信二郎(裕次郎)の始末を算段している主人たちに「勝手でしたが片づけてきましたぜ。そいじゃ、おやすみィー」という軽い言い方にいきなりノックアウトされた!

兄貴分である信二郎をカタギになるために斬らなくてはならなくなる高橋英樹(役名忘れた……)についていくことを決め、飲み屋でお代わりを注文する「酒だ酒だ」という時、そして信二郎がかつて自分が世話になった男だということを知って「俺は降りた、あんたやれよ、見ててやっからよ」という無責任なこと言う時の軽快さ、とにかくこの人のライトな喋りっぷりに圧倒されっぱなしなのだ!外見もこの人が一番判りやすいというか、マンガチックで、片目をつぶされ(本人が独眼竜正宗だと大まじめでうそぶくあたり……)、着流しで、仁義が嫌いな風来坊、「用心棒」の時の三船敏郎みたいに手を袖から引っ込めて襟元からひげをなでているしぐさがこれまたマンガチックにイケてるのだ!

途中で追手に気付いた一本松が彼らを誘い込むために活動写真館に入る。一緒についてきた岡っ引きみたいな男が(この人の役名忘れたけど、しかし、一本松と同様にいいコメディリリーフなんだ!)とがめると、それまでのへらへらした調子から一変[ついてくるな、死ぬぞ」と凄みをきかせて一人中に入る。大河内伝次郎のチャンバラの前で緞帳の紐をぶった切って追手を一網打尽、暗闇にスクリーンがチカチカする中での立ち回りもカッコいい!

“渡世に背いて駆け落ちしたなれの果て”である、女のからだで稼がせて落ちぶれている夫婦者を見つけ、(この時に女に誘われた一本松が「俺は昼間の女には興味がねえんだ」という台詞もグーだ!)一度は行きかけたものの取って返し(ここで高橋英樹と並んで石段を降り、ふと思い付いた表情でまた駆け上がっていくのをあおりでとらえたショットがクールだ!)(夫婦が商売している)神社の社に銃声が響き渡る。戻ってきた一本松「行こうぜ」高橋英樹「やったのか、どっちをやった」一本松「男だ」……いいわー!

一本松のことばかりだけど、実際彼にばかり見せ場があるんだもの……裕次郎扮する信二郎は登場場面からしてなぜか少なく、大体石原裕次郎が時代劇、任侠ものというのがまず凄い違和感があるし、青黒いふくれ顔がイヤだし、最後の立ち回りも一本松に比べて格段に劣るし、とにかく全編、ちょっとねえ、という感じなのだ。あ、高橋英樹はよかった!いやー、当たり前だけど当時若くて、その青くさいキャラクターにぴったりはまる誠実で一本気な好青年!彼がカタギになろうと決心した理由である、これまた一途そうな女がこの争いに巻き込まれて命を落とす段で、あ、こりゃ高橋英樹も死んじゃうな、と思ったらやっぱりご名答、でしたね。それにしてもこの三人だと並んで歩いてても男同士の色気は全くなかった。みんな恋愛の方にすっかり傾いてたもんね……つまんない。浅丘ルリ子も冒頭は「ヤクザの娘ですから」と啖呵きったりしてカッコよかったが、結局ただただ信二郎に惚れてついていくだけで物足りない。しかしほんと、若い頃はその頬骨と唇、名倉潤に似すぎ……。★★★★☆


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