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ちょんまげぷりん
2010年 108分 日本 カラー
監督:中村義洋 脚本:中村義洋
撮影:小林元 音楽:安川午朗
出演:錦戸亮 ともさかりえ 鈴木福 今野浩喜 佐藤仁美 忽那汐里 堀部圭亮 中村有志 井上順
いや、そのクスクス予告編の時から、確かにその予感はあったのだった。ぽっかりと誰もいない、夕暮れのスーパーの前の広場を俯瞰でとらえて、頑是無い友也の「プリンはどうするんだよー!」という絶叫が、そんな予感を感じさせもしたのだが……。
でもそこにかぶさる宣伝文句は「人生は甘くないでござる」とか、やっぱりクスリと笑わせるものだったし、その予感はどっかに置いた状態で劇場に足を運んでしまったのだ。
でもでも、もう最初から、切ない幕切れが待っているんだよというのを、もう惜しげもなくオープニングクレジットから示しちゃってるんだもの!
“世に神隠しにあったものは数あれど、神のわざを持ち帰ったものは稀なり、という古文書めいた文句から始まるなんて、もう最初っから、タイムスリップしてきたお侍さんが、神のわざを持ち帰る、つまり元の時代に帰っちゃうって、もう最初っから言っちゃってるんだもん!
そのせいもあるだろうなあ……ずっと切ない思いを抱きながら観ちゃってるから、お侍さんが現代にタイムスリップしてきたジェネレーションギャップ(どころじゃない)にクスクスしながらも、なんかそれがいちいち胸に迫って涙が込み上げてくるのはさ。つまりつまり、それってズルいじゃないのお!
いや、全然ズルくない。ズルいどころか、最初からオチを見せていながら、一番おいしいところを提示しておきながら、これだけ見せきるのって凄いと思う。
予告編では、ひたすらクスクスだったお侍さん、木島安兵衛のござるな言葉も、なぜか本編ではいちいち染み入り、最初は当然疑わしげマンマンだったひろ子との絆が深まると、彼女が「女に恥をかかせるものではないでござるよ」と冗談めかした口調で、彼に手をつなごうと差し出すのにつながったりして、もういちいちいちいちジンと来てしまうのだ。
いやいや、本作の成功はなんといってもこの頑是無い……そう、頑是無いなんていう、それこそ古い言葉が思わず出てしまういたいけなる少年、友也のキャスティングによるものが大きいことは言うまでもない。
っていうか、何、この子ー!もう、もう、もう、もう、めっちゃめんこい、食べちゃいたい。こんな、なんていうのかな、子供らしい子供、まだこの世の中にいたんだと思わせる。
ほっぺなんかぷっくぷくで、大人の顔色をうかがうなんてワザなぞ持ち合わせてないまっすぐさで、猪突猛進で。でも一方で、泣き顔はみせまいと背中を向けて、鼻水までたらして声を殺してボーボー泣いているケナゲな姿に涙ダー!
神木隆之介くんのような、見るからに美少年なオノコには勿論キャーキャー言うけれども、もっと深いところでギュッときちゃう。ああ、こんな子をまのあたりにしてしまうと、確かに息子を産みたくなる……。
ひろ子はやっぱり世間の波にもまれている大人の女だから、安兵衛をそうやすやすと(シャレじゃないのよ)信用したりはしないんだけど、この友也は、これは子供の直感だろうなあ、もう最初っから対等に信頼しちゃうんだよね。
羽織袴のお侍さんにポケモンゲームを教え込んじゃう。その前に、彼との遭遇で「色々あったから」時間をとられてポケモンの放送自体を見逃してしまい、ここで既に全開で涙と鼻水をたらしているところがスバラシすぎるんですけど(笑)。
彼にとってはポケモンを見逃すことも、安兵衛さんに会えなくなることも(後半の展開ね)、同じ哀しい出来事の延長線上にあるのね、っていう素直さが、てらいがなさすぎてもう、可愛すぎるんですもの!
なんなの、この鈴木福って子!何者!?ていうか、実名まで可愛い!撮影時のエピソードで、錦戸亮を苗字の呼び捨てにしていたという話もやたら可愛くて、もう参っちゃう!
その錦戸君、勿論こちらが主人公である。いやいやいや、福ちゃんに見劣りなんかしてませんですとも(爆)。いや、ホントにしてない(あまり繰り返して言うと、ウソっぽいかな(爆))。
正直ね、江戸時代からタイムスリップしてきたお侍さんに彼がキャスティングされるというのは、最初に聞いた時にはぜっんぜんしっくり来なかったんだよね。だって彼顔がバタくさいしさ(と思うのも私だけかなあ……)、江戸時代のお侍さんって……彼、関西人じゃん、って気持ちももちろんあったし。
でもこれが、不思議と……本当に不思議と、しっくりきちゃうんだよなあ。なんでだろ、ホント不思議。
彼の、関西人にしてはちょっと奥ゆかしげなところが、それこそギャップ的に響いて、江戸のお侍さんが現代にタイムスリップするギャップと上手く呼応したのかしらん??それってこじつけすぎ?
でも、この作品自体、タイトルから予想されるようなハチャメチャさってのが全然なくって、むしろ静謐に見えるぐらいだから、そういう意味でも彼の静けさって、凄くピタリと来るんだよなあ。ストイックだよね、彼。
そもそも、江戸時代からタイムスリップしてきたお侍さんがパティシェになる、っていう設定自体がぶっ飛んでるのに、まずその前に、180年というギャップに彼がいちいちさらされるだけでも大変な訳でしょ。もうそれだけでワンクールドラマが出来ちゃうよ、ってなもんよ。
それを映画という尺でさらりと、しかし深くも踏み込むのに、自分の内側でどっしり咀嚼する雰囲気を持つ彼は、実に絶妙なキャスティングだったと思うんだよなあ。
不思議なことにね、こんなに現代人のイケメンな彼なのに、現代の服装をしているのが、違和感に見えるんだもん、ちゃんと。ちゃんと、っていうのもおかしいか?
まあそりゃまあ、江戸のお侍さんだっていう、いわゆる立居振るまい……スーパーで買い物するにしたって、目的のものにはまっすぐに向かい、お得な割引きの理由もしっかりとわきまえ、テレビの料理番組のレシピを正座して筆文字で、何壱拾ぐらむとメモをとるとか、ギャグ的なたてまえで出してはくるけれども、それがギャグに見えない。ギャグではなく、現代における違和感にちゃんと見える。
彼のまじめな性格が出てるのかなあ、なんてまで言っちゃうのはさすがに妄想しすぎ?
でもこれが、本作のスタンスなんだろうなあ、と思ったんだよね。殊更に笑わせる雰囲気ではなく作っているのが、最初は意外だった。きちんと会話の応酬を見せる。
予告編では思わず吹き出してしまった、「やっぱりカツラじゃないんだ」と、安兵衛さんのほよほよと毛が生えてきている月代を見て心の中でつぶやくモノローグさえ、そう、本編を見て、あ、これ実際に口に出して言ってるんじゃなくて、モノローグなんだ……と驚いたぐらい、それぐらい、ストイックなんだよね。
訳も判らず、2009年というトンでもない未来に放り込まれた安兵衛さんは、一度はひろ子と友也の元を去る。
しかし、警察に行くなんてことの意味さえ理解していないであろう彼は(ていうか、意味を理解したら余計に行かないだろうが……)、どうしようもなくなって再び彼らの元に現われる。
マイペースな友也が車に轢かれそうになったところを助けてくれたんである。当然風呂に入ることも出来ずに、「……クサッ!」と思わずひろ子が身を引くような状態になっていた安兵衛さんは、「ひろ子どのに頼るしかない」と頭を下げ「これから奥向きの用事一切、拙者がお引き受け申す」と申し出る。
勿論お江戸の、しかもお侍さん。女が“奥向きの用事”をするのが当然と思っている彼がそう申し出るのは、自分に“表向きの仕事”がないこともあろうけれども、ひろ子が“女なのに”“表向きの仕事”をしている、そういう時代なんだと認識したからなのであった。
そして、彼にとって超未来であるこの時代で、“奥向きの用事”を女に要求したために、三行半を突きつけられたということを知ったことも勿論大きかった訳で。
そう、超未来なのよ。それでもやっぱり、やっぱりやっぱり、女には“奥向きの用事”を当然のように要求される。
ひょっとしたら本作の裏テーマは、それだったんじゃないかとも思う。同じ条件で仕事をしている立場でも、家事、特に子供をもうけて後のそれは、当然のごとく女の方に課せられる。男がする仕事は家族のためで、女がする仕事は自己満足だとされる。
こう定義すると、実はどっちも間違っている……というか、そんな双方、ハッキリと線引き出来るもんでもないじゃん、と思うんだけれど、そう言うことすら許されないんだよね。
お江戸時代から来た安兵衛さんは当然、そんな疑問すら持たずに、ひろ子が夫と別れた理由に首を傾げるんだけれど、でもひろ子が友也を育てながら頑張って仕事をしているのを目にして、“奥向きの用事”を買って出る。
でも、彼がパティシェとして忙しい日々を送るようになると、彼はまた当然のように、自分が“表向きの仕事”を得て、それでおぬしらを養えるのだから、ひろ子どのは仕事を辞めてはどうか、と提案するんだよね。
……彼のこの“ちっとも判ってない”意識が、実は現代の男性もそのまんま、ほっとんど同じであるというところが問題で、だからひろ子は自分にとっても友也にとっても彼が必要だと判っていながらも、ここでは悔し涙を押し隠して別れを告げるのだけれど……。
おおーっと!自分が気になる部分に足止めくらって、やたら先まで進んでしまったあ!
そもそもなんで安兵衛さんが、パティシェを目指すようになったか?それは、この超未来の数々の驚くべき出来事の中で……やあっぱり、人間が一番深い感銘を受けるのは食だよね、味だよね。
ひろ子はシングルマザーで頑張っているから、それなりにインスタント食品や冷凍食品を使うのは仕方ない。夕食の支度はやたらとチーンチーンとレンジの音が響き渡る。勿論その中には、彼女自身が炊いて冷凍しておいたごはんなんかもあるんだから許してあげて(爆)。
でも勿論、冷凍とはいえ、ギョーザなんか食べたことのない安兵衛さんは目を見張る。そして、洋菓子初体験だったであろう、見るからに安モンのプリンの味に言葉を失うんである。
“奥向きの用事”を担った彼は、その最初から精力的に働き、じゅうたんの下に隠されていた畳に自分の時代との共通項を見つけたりしてきれいに拭きあげ、友也が穴をあけまくった障子を、まるで職人のように丁寧に紙を貼る。
毎日くたくたになるまで働いて寝起きがめっぽうよろしくないひろ子を、襖の向こうに端座して起こし、焼き目もやたら美味しそうな焼きサバを筆頭にした、完璧に素晴らしい和風朝食を準備する。ああ、こんなお侍さん、私も欲しいわ!
彼が奥向きの用事……てか、現代の家事全般を、水を得た魚のようにどんどん吸収してすんごい面白いんだよね。
時間を合理的に使うために全自動洗濯機の予約タイマーまでマスター、落ちにくい汚れは液体アタックに一晩つけるべし、とまで言うんだから、もう噴き出しちゃう。いや、噴き出しつつも……彼がとことん大まじめだから、いちいちじーんと胸に染み入るんだよなあ。
そしてそんな大真面目な彼だから、まあある意味必然のように、お菓子作りにも一度入り込めば没頭してしまう。
キッカケは、熱を出した友也に、おかゆを作るも殆んど食べてもらえず、「滋養がつくように、玉子を多めにした」プリンを作ったことから始まった。
勿論、友也がプリンが好きだというのが始まりであって、まるで食欲がなかった友也が、うまい!と破顔一笑してそのプリンをたいらげたのだった。安兵衛、「うもうでござるか!」この台詞、いいなあー。
本作のクライマックスは、安兵衛さんがお父さんのケーキ大会に参加する場面である。ママ友が安兵衛さんの尋常でないケーキの腕前に驚いて、勝手に応募、書類選考を通っちゃったんである。
最初は渋る安兵衛さんなれども、安兵衛さん大好きな友也は大乗り気で、江戸が東京に勝つチャンス、とひろ子までもが後押し。見事決勝の三組にまで残る。
他の二組が、高校生ってな感じの娘、息子をたずさえた熟年のお父さんなのに対し、安兵衛さんと友也は見るからに不利に見える。
しかし、この他の二組の造形も面白いんだよね。特に、無口っていうか、内気っていうか……いや、ダイレクトに言うと、イヤイヤここに出てきているような、超小声のメガネ女子が黙々と作るお菓子の人形は、ムンクかゾンビかってな、思いっきりホラー仕立て(爆)。
和気あいあいにみえるもう一組の草食系男子とその父親の組も、ベタベタにメルヘンチックなお城ケーキが彼らの虚構な関係を示しているように思えてさあ……。
そして、安兵衛さんたちである。ここで作るのが江戸城っていうのが、もうあの切ないラストを示していたのかもと、今になって思う。
幼い友也は、10時間もの作業時間にさすがに耐え切れなくなって、最後の仕上げの10分という時に、うつらうつらとしたまま溶けたチョコレートを上からダラーリとこぼしてしまう。ハッと凍りつく会場。
安兵衛さんはいつものように、友也どの、と最初は呼びかけていたけれど、友也!と声を張り上げた。
そう、あったのだ、こういう場面。ハンバーガー屋で友達と一緒にはしゃいで安兵衛さんにバシッと怒られて、涙を流したこと。
あの時、その友達のママが、「……お侍さんみたいですね」と言った。あのママ友はその後も一切口には出さなかったけど、安兵衛さんがなんたるものか、あの時わきまえていたんじゃないのかなあ。
おっと、思わず脱線したけど、そう、その時と同じように、思わぬ事態に友也は動揺し、ヒックヒックと泣き出したけれど、安兵衛さんは言ったのだ。泣くでない、ホワイトチョコは残っているか、と。
ああ……私、超泣いちゃった!決定的な失敗かと思われた、江戸城に泥のようにチョコレートがかぶってしまった上に、まさに二刀流!シャシャシャシャシャッ!とホワイトチョコレートの雪が降る!
号泣!そして安兵衛さんは優勝、著名なパティシェに見込まれて修行に入る。幸せは続くと思われたのだが……。
でね、修行に没頭するあまり、当然“奥向きの用事”はこなせなくなり、寂しくて友也はボロボロ泣き(あうう、食べちゃいたい)。
安兵衛さんが来るまでは、残業出来ずに冷たい目で見られていたひろ子が仕事にも没頭出来るようになって、バカにされていた若手にも信頼され、昇進まで勝ちとっていたのがまた逆戻りしてしまう。
せめて友也の寂しさだけでも解消してやりたいと、少し時間をさけないかと安兵衛さんに思い切って相談するも、「拙者、来月には主任に昇進致す。ひろ子どのは仕事を辞められてはどうか」と言うもんだからひろ子は呆然、彼は判ってくれていると思っていたのに、と……別れた夫と同じだ、と。
同じように「……出て行け」と、彼の顔も見ずに、指差した腕を高く差し上げてしまうんである。
最終的には、安兵衛さんが出て行った寂しさに耐えかねた友也が、発熱した身体をおして、電車の乗り換えまで敢行して会いに行き、しかし行方不明になり、ダンボール箱の中に隠れたままトラックに運ばれていきそうになり、そこに追突したチンピラとケーキナイフ?でチャンバラ勝負したりなんていう、ハデな展開もありつつも……。
そしてその中で、それまではメチャメチャ尊大な態度をとっていたオタク系社員(キングオブコメディの彼、イメージピタリすぎる!!!)が、ひろ子に心酔して友也を探す手伝いをしたりして。
だけど、そうなったのは、ひろ子が安兵衛さんのおかげで残業が出来るようになって、彼の失敗をフォロー出来て、だから信頼されるようになった訳で……。
いきなり残業出来るようになったひろ子に上司が「子供のお迎え出来る男が出来たとか、在宅ワークの男が出来たとか、……男が出来たとか」と言うのは思わず噴き出しつつもちょっとムッともくるけど、それが江戸時代から変わらぬ、男女の埋められない溝、なんだよなあ……。
おっと、またまた脱線しそうになった(爆)。
安兵衛さんはね、もとの場所では小普請組で、つまり仕事がない貧乏旗本。武士のプライドだけはあるけれど、ただブラブラするしかない屈辱に耐えていた彼にとって、仕事に打ち込むということは積年の夢だった。だからひろ子殿が羨ましかったんだと、吐露するんである。
そもそもこの時代に飛んできたのは、お地蔵様に仕事をさせてくださいと手を合わせたから。
そして、その夢が叶ったね、と全てのわだかまりが解けて三人の絆が固まった時、その夢を叶えたから元の世界に戻りなさい、とでも言うように……いや、実際そうなのだろう……この時代に来た時の様に、安兵衛さんの足元がズブズブと泉のように彼を引きずり込んで行くのだ。
あのさあのさ……ここまでで書きそびれていたけれど、彼らがお正月に初詣でに行く場面が一番、好きだったんだよね。あの、「女に恥をかかすものではないでござるよ」と、ひろ子が安兵衛さんに手を差し出した場面。
そこまではさ、25歳の安兵衛さんにひろ子が「若ッ……!」とつぶやき、安兵衛さんも「33歳!?」とつい声をあげてしまったぐらい、つまりここにもちょっとしたギャップがあったんだけど、でも初詣での時点では、ほんとにイイ感じだったんだよなあ。
おずおずとながらひろ子の差し出した手を握ろうとした安兵衛さん、そこに七五三みたいな若殿様って感じのかっわいい友也が(あ、そうか……七五三だったのかも。)たたた、と走ってきて、それまでと同じように二人の間に割って入ってニッコリと、これ以上なく嬉しそうに二人を見上げて手をつなぐ。
もう、もう!もう!!キュキュキュキュキューン!!!ときちゃったんだよなあ!それだけに、迫りくる別れが切なくて切なくて……。
安兵衛さんにとっては一世一代の、友也とのつながりをまず言葉にしつつ、ひろ子殿も勿論、大切でござるとついに言ってくれた場面。
しかしその直後、コンクリに突如現われた泉にずぶずぶと飲まれ、うろたえ、涙ながらに彼を引っ張り出そうとするひろ子と友也に諦念の笑みとともに、いつか会えると約する安兵衛さんに、この幕切れは判っていたのに涙ダー!!
そして……こんな約束、言葉だけと思っていたのに。安兵衛さんに来てほしかった卒園式、将来なりたい職業はお侍さんだと高らかに宣言した友也に、これまた高らかに手を叩いたひろ子に号泣(もー泣きっぱなし)。
そして母子は安兵衛さんが住んでいたという麻布近辺を散策し、ふと目にした古い甘味屋さんの暖簾をくぐる。まさに運命。
あの時友也が「プリンはどうするんだよー!」と叫んだ、あの約束を安兵衛さんは180年を経て果たしてくれたのだ!
スマートなパティシェ姿で180年前に戻った安兵衛さん、ちゃんとケーキナイフもたずさえていた。
牛乳がない時代ゆえに豆乳を代用品にしながらも、“神のわざ”にてプリンを作り、名代江戸ぷりんとしてひろ子たちの時代まで名を馳せ続けたのだった。
創業者の名前と肖像画にあぜんと口をあけるひろ子と、まだ漢字が読めないであろう友也がぽかんとしている画はなんとも心打たれまくる。
そして、「安兵衛さん、約束守ってくれたね」「うん!!」もう、もう、涙止まらんさー!
あああ、もうもう、とにかく友也を、友ちゃんを演じる、演じる?いやいや、もう、彼そのもののめんこいめんこい福ちゃんがひたすらたまらんのさ!ぷりんなんて私がいくらでも作ってあげるさー!!!★★★★★