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「る」


1999年鑑賞作品

ル・ミリオンLE MILLION
1931年 84分 フランス モノクロ
監督:ルネ・クレマン 脚本:ルネ・クレマン
撮影:ジョルジュ・ペリナル 音楽:アルマン・ベルナール
出演:アナベラ ルネ・ルフェーブル ポール・オリビエ


1999/3/25/木 京橋フィルムセンター
「イタリアの麦藁帽子」でもそうだけど、ふとしたことで紛失したものを、まるで跳ね回るボールを追いかけるように追いかけていくというのがルネ・クレール監督のコメディの基本かもしれない。これは語り口もしゃれていて、人々がどんちゃん騒ぎをしているのを屋根から覗き込んだ男二人が、一体どんないいことがあったんだ、と問いかけ、それを語り出すところから始まり、その現在の場面に戻ってきて終わる。歌で台詞を言うなど、ちょっとミュージカルっぽかったりして。ひょうひょうと表れて上着を借りていってしまうチューリップ爺さんが楽しい。彼のおかげで、そのポケットに入っていた100万フローリンの宝くじを探し回ることになる男。そのチューリップ爺さんが舞台役者に上着を売っちまったもんだから(借りていく、と言っておいて売るか!?)、大変。二人の女性が楽屋に忍び込んで取り返そうとしたが失敗。舞台に上着を取り返しにニセ役者を送り込み、味方同士で取り合いになって引っ張り合ったら、袖が破れて、慌てて引っ込む。おかげで舞台役者はベストみたいになった上着でその後を演じ続けるはめに……。果てはその上着を抱えてラグビーのタッチダウンをやってみたり、笑いの手綱をゆるめることのない監督、さすが!チューリップ爺さんに上着を貸した女の子が爺さんを見つけ、返してくれるよう請うと、ニコニコ笑って取り替えしてくれたはいいが、そのポケットに宝くじは入っていない。「上着を返せというから……最初から宝くじといえばいいのに」と自分の内ポケットから宝くじを取り出す爺さん。オイオイ、そういう問題か?この得体の知れない爺さんのおかげで物語がくるくると二転、三転して面白いの何の。★★★☆☆
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