home! |
STAND BY ME ドラえもん
2014年 95分 日本 カラー
監督:八木竜一 山崎貴 脚本:山崎貴
撮影:音楽:佐藤直紀
声の出演: 水田わさび 大原めぐみ かかずゆみ 木村昴 関智一 萩野志保子 三石琴乃松本保典 田原アルノ 妻夫木聡
映像、アニメーションとしてのドラえもん、映画としてのドラえもんなら、もう充分にエンタテインメント、スペクタクルの展開をなしているんだから、そっち方面は気にしなくてもいいんであって、
本作は、私ら大人世代がイメージする、そもそもの始まりのドラえもん、昭和なドラえもんをしっかりと再現してくれるのだよね。まあそれこそ、「ALWAYS」の手腕といえばそれまでだけどさ(爆)。
しっかし、今の子供は、この昭和なドラえもんの世界をどう見ているのだろう、ということも若干、気になる。
今でも一応(一応?)、ドラえもんは人気なんだよ、ね?生活スタイルも、家族構成も、めっちゃ昭和のまま、恐らく今もドラえもんの世界は存在し続けている訳で……だからかなあ、映画作品となると、ぱーん、と現実世界を抜けた展開になるのは。
でも今でもテレビアニメの世界ではそのままなのかなあ……ゴメン、観てないもんだから……。
そう、考えてみれば、ドラえもんは勿論世界的に有名なキャラクターだけど、改めてコミックを読んだり、アニメを見たりした記憶ってないんだよな、私。
ただドラちゃんのフォルムが恐らく、女子的には凄くヤラれるもので、カワイイーッ><っていうね。
特にあの、後姿がたまらないんだよなあ。まんまるな後ろ頭が夕暮れの中ぽっかりと浮かんでいる。3Dのドラちゃん、ヤバいよ。あのまるまるとしたフォルムが愛しすぎてたまらない。
あのまんまるな後ろ頭、球体のあの感じに心がきゅーっと掴まれて、ドラちゃーん!!と後ろから抱きしめたくなっちゃう。うーむ、女子としてはどうも、ドラえもんのフォルムだけで癒されるらしい……。
でもこの、未来に帰らなければならない、というシチュエイションは、当時の子供ながら気になって、友達からその巻のコミックスを借りて読んだ覚えがあった。
ドラちゃんがしとどに涙を流しながらのび太と別れを悲しみ、引き出しの向こうへと帰っていく姿に、子供ながらうるうるとしながら読んだ覚えがあったのだった。
ハッキリ言って、女子的に言えばのび太はドラちゃんに値しない男の子で、しずかちゃんはやっぱりできすぎ君と結婚すべきだったのである!!
……大人になってから思うと、やっぱりこれは男子目線の作品だよなー、と思う。
ダメダメな男の子が夢見る未来から来た友達ロボット。憧れのマドンナとの結婚。知らずに成長している自分、みたいな。当然ながら女の子のための物語ではないのだよな。
おーっと、ドラえもんにまでフェミニズム野郎を持ち込むかっ。いけないいけない……ドラちゃんにあっさり泣いたくせに、このバカッ。
オチもなにもすっ飛ばして最後の話をするが、コミックスでのドラちゃんの涙は垂直に流れていたような気がするけど、本作では立体を強調するためなのか、頬の外側に沿って流れる。……でもあの形状だったらやっぱり普通に下に流れそうな気がするけどなあ……。
まあ、そんなことはどうでもいい。いや、大人になるほどに、どうでもいいことは気になるもので、こういう未来アニメものはヤハリ、タイムパラドックスは気になるところではあるが、一本の映画の中でそこまでかき回すことはしないので……。
んー、でも、未来のしずかちゃんを助けに行くために出会った、大人ののび太が、「子供の頃の友達だから」とドラえもんに会おうとしないくだりがね……。
そこまでの展開なら、未来が明るく変わったからドラえもんは未来に帰らなければならない、つまり、大人ののび太に会うことはないから、という理屈付けがなされていた訳だけど、結局は「いつまでも一緒にいるよ!」的なラストに変った訳だからなあ……。
まあ、こんな具合にSFとゆーのは難しいものなんである。そう、ドラえもんはSFなんだよね、基本的に。
でも日本人的には、いや恐らく世界的にも、ドラえもんがSFだと思っている向きは、ないよね。エヴァンゲリオンやガンダムじゃないんだもの。
鉄腕アトムの誕生にさえ、時間は追いついてしまったけど、ドラえもんは22世紀。20世紀の頃からだって遠い未来だったけど、21世紀に突入して間もない私たちにとっても、結構先の未来である。
その間、少しずつ、荒唐無稽と思われたSF世界が徐々に実現されてきて、それこそインターネットだのスマホだのといった世界は、元々SF世界に近似値で描かれていたものだったんだもの。
でも不思議なのは、それがドラえもんの日常世界ではちっとも反映されていないこと、なんだよね。
スミマセン、アニメの方は見てないんでアレなんだけど(爆)、やっぱりイメージとしては、いまだにのび太はグズでジャイアンやスネ夫にいじめられてて、しずかちゃんはいつまで経っても手の届かないマドンナで、みたいな感じなんだけど、今は違うのかな?違わない気がするなあ……。
のび太がインターネットを駆使したり、携帯でジャイアンから呼び出されたりするのは、さすがに想像つかないもん。
だからやっぱり、ドラえもんの世界は20世紀で止まっていて、夢の21世紀に憧れながら、更にその先の22世紀からやってきたドラえもん、なんだと思う。
きっと今の子供たちも、竹コプターやどこでもドアや、雲を固めるスプレーに心躍らせるんだと思う。だからこそ、なんとか日本の子供世界は保たれているんじゃないのかなあ。
てか、無知女がドラえもん評をしたってしょうがない(爆)。問題は本作なんだってば。
でもそう思うと、本作は少々、高等向けのドラちゃんだったかなあ、という気もしてる。改めて探ってみると、コミックスとしてのドラえもんってかなり広範囲の世代の子供に向けて展開していて、アニメはまあいっしょくただけれど、そういう側面があったのね、ということに気づく。
で、本作は、またそこからとび越えて、恐らく……子供時代が昭和であった大人への目くばせが相当あると、思う。
つまり、単独で映画館に来る大人プラス、何よりターゲットは、子供を連れてくる親たち世代よ。泣ける泣ける、と煽っていたのもそうだったしなあ。まあ泣いたけど(爆)。
それでもね、純粋なドラえもんの魅力の世界にはちゃんと浸れるのよ。思えば、竹コプターやどこでもドアなんていう、基本アイテムにのび太が初めて触れる感動を味わえるなんていうのは、もうすっかりドラえもんが浸透してしまった現代ではなかなか難しいじゃない??
あるいは、未来から来たドラえもんが、「こんなおいしいもの、初めて食べた!!」とどら焼きに感動して食べまくる、なんていうのもね。
……どら焼きをもともと知らなかったのに最初からドラえもんというネーミングだったというのは??と思ったり、22世紀の未来の日本には、どら焼きなんていう伝統的な和菓子がなくなっちゃっているのか??などという、なんか色々、ドラえもんの基本的設定に対するいちゃもんをつけるなどという暴挙に出てみたり(爆爆)。
それだけ、20世紀の日本は、未来に対する途方もない夢を抱いていたんだなあという気もする。今はたとえ200年先でも、それなりに変らぬ部分もありつつ推移しているんじゃないかと思っている部分がある。
のび太が大人になった自分に会うのは世紀の違う22世紀で、宙を浮いて走るバイクやら、いかにもな未来的描写がなされるんだけれど、それは20世紀ドラえもんから見る想像的な未来の世界で、やっぱり夢、なんだよね。
子供時代のいじめっこと、でも根っこでは友達で、大人になっても付き合えていたり、というのも、そういう要素のなせるワザであると思う。
「僕がいなくなって、ジャイアンたちにいじめられても大丈夫?」と心配するドラえもんの姿は、むしろ今の深刻な状況におかれている子供たちにこそ向けられるものなんだもの。
弱いくせにジャイアンに対決を挑んで、倒れても倒れても立ち向かっていくのび太、それに涙するドラちゃんはすっごく可愛くて、あっさり泣かされるんだけれど、それはやはり、……平和な昭和時代で終わった光景、なんだよね。
頑張れば、立ち向かえば、突破できる。判ってもらえる。だからガンバレ、だなんて。
……いや、そんなことを言ってはいけない。それさえしないうちに諦めるな、ということなんだろうとは思うもの。
ドラちゃんのようにちゃんと見守っていてくれる人(人じゃないけど)がいれば、ってことなんだもの。だからこそドラえもんは永遠の子供たち(のみならず)の友達でありつづけるのだもの。
そうよね。考えてみれば、本作だって、そして私の記憶の中のドラえもんでも、子供たちそれぞれの親たちは勿論存在していて、それなりにエピソードに絡んできたりもしたけれど、子供の世界に介入してはこなかった。
介入しなければ子供を救えない今の時代とは違うから……というゼツボー的な違いはあれど、でもやっぱり、だからこそ、ドラえもんの存在は必要なんだと思う。
たとえそれが妄想であっても、いいよ。子供が子供社会の中で生きている限り、それを救えるのはその社会のものでしかないんだもの。
それが時には、未来の自分とか、未来の自分の子孫とか、そんな、時には妄想であっても、いいんだよ。子供が子供社会という、社会に出てしまったら、もう大人は、子供を救うことは出来ないんだよなあ……。
ドラちゃんの可愛さに純粋にきゅんときていたのに、結局つまんないことばかり言ってしまった、ゴメン!!
しっかし立体のドラちゃんの可愛さにはホントヤラれたよ。そらね、3Dならではの、竹コプターでぶんぶん飛び回る臨場感とか、ゴウゴウ吹き荒れる雪嵐とか、土管公園で野球をして、高く上がったボールをのび太がマジックグローブでキャッチするとか、そりゃまー、いろいろあるけど、何よりドラちゃんの可愛さなのっ。
でもでも、やっぱり3Dならでは、かあ。そう、もうここでは言い切れない、ドラえもんの何よりの魅力、ひみつ道具はバンバン出てきて、でも大抵は失敗に終わる教訓的な展開が、でも実にエンタテインメント、アクションたっぷりに描かれるしさ、今まで3Dになっていなかったことが不思議なぐらい!
いや、まさに3D技術が熟しての満を持しての、ということだと思うしね!
どうでもいいけどふと気になったこと……。子供たち、すごく手が大きいのね。手が強調されるのは、手の表情が物語を豊かにさせるということなのかな??手が大きい!ということに気づくと、そればかりが気になっちゃって、ホントに、ガテン系の仕事してる大人の男みたいにガッシリ節々してて大きいの!
……あ、でも、顔(というか頭というか)も比率に対して凄く大きいか……。アニメでは気にならなかったけど、立体に感じると、ボリュームが増して、あれ??と思っちゃうのかもしれない。★★★☆☆