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「て」


2020年鑑賞作品

テラ戦士ΨBOY
1985年 105分 日本 カラー
監督:石山昭信 脚本:原田眞人
撮影:山崎善弘 音楽:林哲司
出演:菊池桃子 早乙女愛 益岡徹 竹中直人 井浦秀智 磯崎洋介 栗田光志 五十嵐登 佐藤直洋 あき竹城 上條恒彦 朝丘雪路


2020/10/9/金 録画(日本映画専門チャンネル)
当時既に桃ちゃんファンではあったけど、この作品は観てなかったなあ。ポスターイメージは覚えていて、なんかメーテルみたいな女神チックな桃ちゃんが銀河をバックに微笑んでる、みたいな、桃ちゃんファンのまだ子供だった私でさえ、うっわ、これはナイわ、と思うようなものだったからさあ。
もうすっかり、銀河系の中でファンタジー光線飛び交うみたいな(?)ものを想像していたが、意外に違った。

確かにこのビジュアルのシーンはあるが、かなり唐突感である。フツーのカッコで大気圏突破して銀河の世界に行ったのに、いきなり白いドレス姿の女神ビジュアルになるという唐突さで、うーむ、まるでポスター写真にムリヤリ合わせたんではないかと思っちゃう。

実際の作品イメージは、これはさあ、超能力にしてもタイムリープにしてもやっぱりどこか、時かけの雰囲気はあるよね。あるいは高校生の群像劇という点ではざっくりと角川映画の雰囲気はやっぱり、感じるよね。
これが東映映画だということが不思議に思えるぐらい。当時やっぱりそういうのあったんだろうなあ。

冒頭は、子供の頃の桃ちゃん扮するモモコが幼なじみのモトハルと双方の親たちと共に遊園地に遊びに来ているところから始まる。
あら、ここでも役名モモコなんだ。「パンツの穴」でもモモコだったし、そもそも自身の名を冠した雑誌でデビューという特異なスタートを持つ桃ちゃんは、意識的にこういうブランディングをされていたのかもしれない。

風船がパン!と割れる。なぜかこんなとこでラグビーのパスをしている詰襟学帽の高校生、お腹の大きい女性、メガネ、オデブの子供らが次々に、モモコとモトハルにぶつかってくる。
目を射る光線。カットアウトした先で、モモコは高校のロッカーのかぎをしめている。そして呆然としている。友達たちと無邪気に会話をしているんだけど、どこか上の空である。ボクシング部で練習をしているモトハルの元に駆け込む。「ねえ、どうしてさっきまで6歳だったのに、私いきなり高校生になってるの!?」

なかなか衝撃のオープニング。ええ、マジで、6歳から高校生になって戸惑ってんの??と驚くがよくよく聞くとそうではなく、それぐらい鮮烈な、現実かと思うような6歳の時の記憶が夢か何か判らんけど彼女の中によみがえってきて、パッと夢から覚めるように高校生の自分に立ち返っていた、というんである。

ただ、ラストの種明かしじゃないけど、そこから見ると実際、モモコたちBOYを救うまだ未熟なままの超能力チームが奮闘するほんの数日間は、存在しない日々というか、これは一種のパラレルワールド的な感じなのかなあ。パラレルワールドも特にこの当時のSFアイドル系では、欠くべからざるジャンルだったもんなあ。
とにかく、BOY言うところによると、「6歳の君があの時、早く高校生になりたいと願っていたから」おもちゃのプリズムの水の中に閉じ込められていたBOYと共に存在しない未来へと飛ばされてきた、ということ、らしいのだが。

全編、超能力チーム、特に天才小学生ギンジローによる説明台詞によって展開していくので正直、よく判んねえなと思っちゃう頭の悪い私(爆)。
とにかく概要としては、ゴールデン・フレイム研究所なるところでエスパー生産のプロジェクトが進んでいて、そのために地球外生命体のBOYが標的にされている、ということよね(間違ってない?大丈夫??)。
銀河のかなたでこのBOYと対峙する女神モモコだが、BOY君はいかにもな胎児的宇宙人スタイルで、マトモについていくのがなかなか難しい印象(爆)。

ゴールデン・フレイム研究所も、ザ・80年代に考えそうな、ユニフォームが銀色モジモジ君とか、所長は人間そのものに宇宙人風メイクをしているようなワザとらしさだし、もうどうしていいのやら(爆)。
ただこの研究所がなぜ存在するかということについては、票だけもらえればオッケーみたいなタヌキな重鎮政治家たちが、つまり人民を操作するために、という裏テーマが設けられていて、これはもう今も昔もであり、あらあら、意外に社会派なのかしらんと思ったり。

てゆーか、もう言いたくて言いたくてウズウズしちゃってたけど、本作はさ、竹中直人劇場だろ!!若い時から一ミリも変わらず竹中直人。それは柳沢慎吾とと双璧を成すに違いない!
なんでまあ、こんなボンノーだらけの、おかしな男を最高機密機関のエージェントとして派遣しているのか理解に苦しむ。
所長のフレイムとはかつて、というかそもそも、というか、モモコたちとBOYが遭遇したあの時二人は詰襟学帽の高校生で、遊園地内でラグビーのパス練習をしていたという意味の判らなさ……まあとにかく、親友同士だった訳だ。

どーゆー経緯でボスと部下になってしまったのか。つーか、竹中直人が自分のネタというかギャグというかを発揮しすぎるので、一体彼のそもそもの役どころってなんだっただろう……と考え込んでしまうんである。
同じくエージェントとしてモモコが通う高校の教師としてもぐりこんでいる片山先生に恋しちゃってて、彼の心の中を透視するとちゃっかり豊満なビキニスタイルの片山先生がしまわれていたりする。コラー。
片山先生を演じるのは早乙女愛。ああ、まさにこの時代のセックスシンボルであり、引退後ひっそりと若くして亡くなってしまったことを考えるとなんだか胸に迫るものがある。

本作はさ、桃ちゃんとともに活躍する超能力チーム、つまり皆10代の、この当時はこれから先の活躍が期待されただろう子たちがね、残念ながら……一人も残ってない、よね??少なくとも私の知識では見覚えのない子たちばかり。
モモコの両親(上條恒彦、朝丘雪路)とかチョイ役で出てくるあき竹城とか、もちろん益岡徹に竹中直人に早乙女愛といった大人役者はみなそうそうたるメンバーなのだが、難しいのかな、やはりこの当時の若手役者が生き残っていくのは……。「パンツの穴」で桃ちゃんの相手役となり一世を風靡した山本陽一氏だって生き残れなかったしなあ……。
まあそれはとにかく。竹中直人のムチャクチャぶりを見てるだけでも相当楽しい、それだけでも価値がある(爆)。もちろん、桃ちゃんの可愛さを堪能するだけでも価値がある(もちろん!!)。

モモコと単なる幼なじみだというまま進んでいくモトハルだけど、そこんところは当然、青春アイドル映画だからそれなりの含みは持たせる。
BOYが地球に落ちてきた時に偶然居合わせ、BOYを救うための超能力がそれぞれに振り分けられた彼らだけど、能力をコントロールしきれずに、ゴールデン・フレイム研究所と闘うことになる。

んでね、超能力の他にもIQが高くて情報処理能力にたけている小学生のギンジローとか、テレポーテーションや人の深層記憶が読める男の子とかと比べて、モトハルの能力……物を移動できるとか、動かせるとか、は、なかなか実践的に役に立つ場面が少なくって、なんか彼、ぶんむくれてしまうのね。
モモコも自身の能力をコントロールしきれてないけれど、彼女こそがどうやらBOYに最も近い、というか、BOYと直接交信できる唯一の人物らしいから、ますます彼はぶんむくれてしまうのだが……。
二人の関係は、この時点ではなかなか微妙なところである。幼なじみ以上恋人未満、そこまでさえ行っていない??でもブンむくれたモトハルは自分だけ突っ走って研究所に突撃しちゃうし、それこそが突破口となる訳なんだから。

こっから先はもう、BOYが閉じ込められたプリズムをめぐる攻防戦、おっかけっこ、アクションに徹する。
正直、アクション的にも体力的にもどー考えてもムリだろと思われる小学生、オデブちゃん、ガリベン君、フツーの女子高生、唯一モトハルだけは格闘系だが、それで銀のモジモジ大人集団を相手にバッコバッコアクション、手に手にプリズムを渡していけるなんて、そんなムチャな、いくら何でも不可能すぎる!!
この展開はさすがに……見てられないぐらいもたつくところもあったし、ヤバかったなあ。まあまあ、そんなことはヤボだから言うまい。

BOYが望む6歳のモモコの記憶に飛び、プリズムが破られる。そしてロッカーの鍵を開けているあのシーンに戻ってくるのだが、違うのだ、ちょっとずつ、違うのだ。こここそが、本当に存在する“未来”。
イチャイチャしている教師は、存在しない未来で描かれていたのは(これも凄いんだけど)男性同士のカップルだったのが、良かったねここは、闘いの中で死んでしまった片山先生がちゃんと生きていて、つれない彼女に夢中だった竹中直人=マルイ。

モモコはモトハルと遊園地にデートに向かう。どこか、記憶の奥底に見覚えのある人々が次々にモモコの横を通り過ぎる。同級生にウンチクを語っている小学生も、モスバーガーの屋台(!!モスって当時、出始めじゃない??)売り子をしているのも、行列を顧みず大量注文してはその場で頬張りまくるおでぶちゃんも、みんなみんな、仲間たち!
BOYがささやきかける。思い出してくれたね、と。まあ正直、この存在しなかった10年後とかパラレルワールド的な感じとか、頭の悪い私には消化しきれなかったトコはあるけど。本作はとにかく竹中直人劇場の楽しさに尽きるであろう。もちろん、今も変わらぬ桃ちゃんの可愛さはいわずもがな! ★★☆☆☆


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