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「て」


2002年鑑賞作品

DEAD OR ALIVE FINAL
2001年 89分 日本 カラー
監督:三池崇史 脚本:石川均 龍一朗 鴨義信
撮影:田中一成 音楽:遠藤浩二
出演:哀川翔 竹内力 テレンス・イン ジョシー・ホー マリア・チェン 小室博義 リチャード・チェン


2000/1/22/火 劇場(渋谷シネ・アミューズ/レイト)
シリーズの最初こそ、これぞ三池監督のハチャメチャ最高傑作だ!と思いもしたものの、今や三池監督のハチャメチャはもっとずっとスゴい方向に放射状に進化?しているので、既に今更驚かなくなっているのは、ううむ、いいことなのかどうか?あ、でもナンセンスのハチャメチャ加減(ほめてます)としては、やはり本シリーズの右に出るものはない、よね?それに昨今残酷、激痛方向のハチャメチャに際限なく突き進んでいる三池監督だけど、本シリーズはそのあたりも、“比較的”安心して観ていられる。あくまでも“比較的”だけど。

シリーズとは言いつつ、別にストーリーが継承しているわけではなく、共通しているものといえば哀川翔、竹内力の両巨頭の主演であり、そしてハチャメチャな設定とラストであり、という部分か。しかしそれこそがこのシリーズを強力で、なおかつドラッグ中毒のようにカルトファンを増殖している部分にあるのだ?ことさらにカルトにしたいわけじゃないんだけど、でも最初はちゃんとロードショー公開だった(中野だったけどさ)のに、レイトになり、渋谷のレイトになり、っつったらもうカルト路線牽引しているようなものだが……。でも哀川翔や竹内力、それに言っちゃえば三池監督の作品を渋谷のレイトで観る、っつーのは、やはりなんとなーく、違和感?

情報として香港ワイヤー・アクションとかいうのは聞いていたけれど、今回はどうハチャメチャに持ってくるかと思ったら、はああ、なんとまあ2346年の未来で、しかも登場人物はレプリカント、彼らが己の自己にあがいているという設定!?今更驚かないとは言ったし、ワイヤー・アクションは三池監督と出会うべくして出会った、とは思ったものの、まさか三池監督から未来SFだの、レプリカントだのといったものが出てくるとは……(あ、でもフルメタル極道、なんてのもやってるんだっけ……観てないんだよねー)。そ、それも哀川翔と竹内力があ!?哀川翔が出てきてすぐにあっさりと、「あ、俺レプリカント」などとライトに言うのにかなりズッコケながらも、彼だけかと思っていたレプリカントがそのあともぞろぞろ出てくるのにはもはや頭を抱えてしまう?

んで、この2346年の未来、横浜ではその外の世界は荒廃、人工調整のために全ての住民がクスリを飲まなくてはならず、そのために生殖能力、生殖バランスが崩れていく。そうやって人々を牛耳っているのが絶対政府の支配者、ウー。しかし当然のことながら愛し合うことを望んでいる若者たちの中には彼らに反旗を翻し、クスリを拒んで子供を作ろうとする者たちもいるのだが、かぎつけられ、とらえられ、仲間を白状させられて裏切らせ、仲間同士で争わせ、皆殺しにしてしまう。そんな中にふとふらりと迷い込んだのが、レプリカントのリョウ(哀川翔)。リョウはこの若い革命家たちを期せずして助けることになり、彼らの輪に加わる。この反抗者たちをひっ捕えようとするのが、ウーの腹心刑事であるホンダ(竹内力)。彼は美しい妻と最愛の息子と幸せな家庭を築いている。しかしこの時点では彼はまだそれが、自分も、妻も、息子もウーによって作られたレプリカントの家族だということを、知らない。

記憶を作られて人間に服従させられて、自己のアイデンティティに悩むレプリカント、だなんて、まあ、どこかで聞いたような話だとも思うのだが、ここではそういうシリアスなラインは、このハチャメチャな作品を成り立たせるためのカザリモノ程度の機能しかないので?、さして気にしない。どちらかというと自分がレプリカントだということを最初っから認識していて、多分ずっと悩み続けてきたものの、今ではすっかり悟りを開いて?そんな様子を微塵も見せないリョウの方がレプリカントの造形としては面白いし、興味深いものがある。なあんて、ね。要するに私が哀川翔が好きだってだけなんだけど……。

前回から髪も黄色く染め、ちょいとやんちゃな兄ちゃん、という趣の哀川翔は、実年齢よりも若い雰囲気で、ワイヤー・アクションも華麗に飛び回る。美しい哀川翔が好みだわ、などと思ってきた私はシリーズ2の時点では、1の哀川翔のほうが良かったわ、などと思ったのだけど、本作の哀川翔は、な、なんだかめっちゃくちゃカワイイ!何たって、その黄色い髪とコーディネートしたような黄色のパーカーと、その下にはユニバーサルスタジオのスヌーピーのトレーナー(!?)くううう、妙に似合ってて、かわいいんだよー!ま、まさか哀川翔に向かってこんな風に身悶えせんばかりにカワユイッ!と思うなんて思いもしなかった……。子供とたわむれる様子なんてさあ、ちょっと「極道黒社会 RAINY DOG」を思い出しちゃったね。ああいう美しい時も、こういうおチャメな時も、この人ってば意外にも(いや、当然にも、か。何たって確か5人もの子供のパパさんなんだもんなあ)子供とのシーンが、似合うんだわああ。

んで、そういう哀川翔は、当然オンナの母性本能とやらをコチョコチョとくすぐりまくるんである。ニッコリ笑っていつも返答は「あ、そう」とかるーく返しちゃうようなリョウは、まあ最初っからくすぐってたけど、たった三人残された、リョウとジュンとジュンの弟のリー、その本当につかの間の穏やかな時間が(このあたりも「極道黒社会……」を思い出させる!)、ジュンの中でのリョウの存在をどんどん強くしてゆく。「いいの、俺レプリカントだよ」などと言うリョウ(ううッ、何でそれだけなのにこんなにチャーミングに響いちゃうんだッ!)に笑って頷くジュン。う、うらやましいよお。

一方のホンダ。彼がレプリカントだと知るのは、観客ともどもずっと後。妻がレプリカントだと知り、自身も、そして最愛の息子も……。この妻の突然の“故障”のこわれっぷりは、得体の知れない液体が流れ出し、貼り付いた笑顔のまま昏倒し、放電し……なにやらエロティックな空気を感じさせずにいられない。リョウとホンダ。言い換えれば哀川翔と竹内力が双方共にレプリカントだと判ったあたりから、二人の対決に向けて急激にシリーズ1、シリーズ2の二人の映像がまさしく走馬灯のように現れてくる。こ、これはどうやら二人の頭の中から呼び覚まされた……?と、いうことは、彼らは繰り返し生まれ変わり、最終的にこのレプリカント同士としてここに再会したということなのか?じゃあここで、レプリカントとして永遠の命を得た二人が対決し、またしても破壊しあったとき、一体どんな結末が生まれるのか?

この二人がカンフーというのもかなり新鮮な、そしてさすがこの二人だけに見ごたえのあるファイトシーンをたっぷりと堪能させたあと、用意されている結末はな、何と……と言ってもその画としてのシーンはあまりに衝撃的……というか超、ウルトラ、スペシャル、デラックスにアホというか……と、とにかく、何でこうなるの??と、思わず欽ちゃんになりかけ、画面の二人も同様の感想をもらし、しかし、こういうことだよ、と納得して……こういうことって、一体どういうことお!?つ、つまり、やたらとメタルチックなロボット怪物?が出てきて、それがシャキーン!とばかりに装備?すると(あああああ、もう、ハテナマークばっかし!)それはいわゆる屹立したペニスの形をしており、その根元に控える二つのボール(……もう!)がリョウとホンダの顔で……。ちょっとお!こ、これって映倫にひっかからんのかあ!?そのメタリック怪物が、ウーと愛人の青年がバックプレイをしているところを襲うのを暗示したシーンでカットアウト。疲れたよ、もう……。

三池監督の作品から「G線上のアリア」が聴こえてくるっつーのもあまりに予想外で驚いた。ウーの愛人の青年が常に上半身裸で、哀愁漂わせてサックスを熱心に吹いてるっつーのは、ヘンキャラ得意な三池監督でもほっんと、意味不明なキャラだよなあ……。ところで新DOA FINALの話があるっていうのは……。いや、そりゃ冗談にしてもカンベンしてよ!★★★☆☆


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